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Channel: 中華街ランチ探偵団「酔華」
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新杉田の「バーグ」でスタミナカレー生卵

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 若いころのことだが、昼食、夕食、単独一献というと、よく新杉田や京急杉田界隈で飲み食いしていた。新杉田駅に隣接するマンション1階にあった定食を出す呑み屋さんとか、中原の喫茶店とか、京急杉田駅前のアーケード街とか、いろいろな店に出入りしていた。
 なかでもしばしば利用させていただいたのがカレーの「バーグ」である。当時はまだ商業ビルが建つ前だったから、路面にさまざまな店が並ぶ中の一軒だった。


 これは平成3年頃の明細地図であるが、私が通っていた昭和の時代とほぼ変わりはないと思う。水色に塗った部分が再開発によって整理され、現在の大型商業ビル&高層マンション「らびすた新杉田」ができた。15年くらい前だったかな。
 この地図の中のピンク色に塗った部分がカレーの「バーグ」だ。小さな店で、たしかカウンターのみ、10人も入れなかったのではないだろうか。
 カウンター内でフライパンを振るのが店主だった。スタミナカレーを注文すると、ライスにカレーをかけ、フライパンに肉を投入する。この肉は生ではなく、ある程度下ごしらえがしてあった。だから、あっという間に火が通る。そこに「バーグ」特製のタレというか、スパイス液というのか、瓶に入れられた謎の汁をササッと振り掛けて一丁上がりだった。
 私が好きだったのは、これに生卵をのせる「スタミナ生」♪ 二日酔いの昼にはよく食べていた。早い、安い、旨いということで印象に残っている。

 その後、杉田から縁遠くなり、ほとんど食べに行かなかったのだが、やがて店が大きくなり支店もでき、たまには大通り公園そばの店で食べるようになった。しかし、なんだか違和感を感じるのだった。
 そんなわけでもう長いこと「バーグ」を訪問していないのだが、この正月明け、久々に本店を訪ねてみた。注文したのは、もちろん「スタミナ生」である。

 広い厨房のなかで働く人を見ていると、ほぼ昔と変わらない流れが見える。瓶の口を親指で押さえ、それを少しだけずらして汁をササッと肉に振り掛ける。作る人は昔の店主とは別人だが、なんだか懐かしい光景だ。
 やがて私のスタミナ生が運ばれてきた。見た目は昭和の時代と変わらないようだ。舌の記憶力が弱いので確かなことは言えないが、たぶんあの頃と同じだと思う。
 
 食べながらいろいろ思い出すことが。いつ行っても混んでいたあの狭い店内。店主の濃いブルーの制服。「イタリーノ」の店主と似たような寡黙な雰囲気。食べ終わった後の満足感。そして周辺の風景。
 そんなことを思い出していたら、この日食べたスタミナ生は、なんだか昔の味と同じような気がしてきた。これはまた、ヤミツキになってしまうかもしれないな。中毒性があるからなぁ……。


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