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Channel: 中華街ランチ探偵団「酔華」
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生姜焼きのナゾ

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 たまに食べたくなるものって、ありますよね。なぜか思い出したときから、頭の中を占めて立ち去らない料理。

 カツ丼、天丼、カレーうどん、「サクライ」のチリバーグなどなど…それは和洋食系に多いようです。そんな中の一つに「豚肉の生姜焼き」もあります。 何か月かに一度、無性に食べたくなるので、そんなときは自宅でつくってみたりしています。

 で、作りながらいつも思うんです。これって、生姜焼きではなく生姜炒めじゃんって。
 
 洋食屋さんで食べる生姜焼きだって、焼かずに炒めているでしょ。この料理は炒めているのに「焼き」を名乗っているのはおかしいのではないか、私はそんな疑問をずっと抱き続けているのです。

 「炒め」といったら野菜炒めをまず思い出します。ちょっと格をあげて肉野菜炒めなんてのもありますが、基本的にはどこかチープな感じのする料理ですよね。

 一方、「焼き」といって思い浮かべるのは何でしょうか。
 すき焼き、鰻の蒲焼、ステーキなど、庶民はなかなか食べられない高級料理が多いのではないでしょうか。

 生姜焼きが使用している材料は、豚肉・玉ネギ・生姜という簡単に入手できるモノたち。
 本来ならば「肉野菜炒め」と似たような境遇にある料理なのに、なぜ「豚肉と玉ネギの生姜炒め」と名乗らないのでしょうか。

 そこには、大正時代に生まれた「生姜焼き」の出自が関係しているようです。 


 これは大正5年に田中宏という獣医学者が発行した『田中式豚肉調理法』という本です。
 なかなか面白いことが書いてありますので、興味のある方は国立国会図書館の近代デジタルライブラリーで閲覧してみてはいかがでしょうか。


 その中に、こんなことが書いてありました。

 生姜汁とみじん切りのネギを醤油に入れて、そこに薄切りの肉を浸したら、すぐさま炭火を使って網焼きにする、と。
 これって、生姜焼きじゃないでしょうか。

 七輪で炭をおこして、金網で肉を焼くなんて面倒だし、第一そんな装置も無くなってきたことも影響して、フライパンで炒めるというお手軽な調理法に変化していったのではないでしょうか。

 いやいや、炒めているのではなく、フライパンで焼いているんだ、というお店もあるようですが……。

 なんてことを書いていたら、またまた生姜焼きが食べたくなってきた……



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