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Channel: 中華街ランチ探偵団「酔華」
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「いもや食堂」にて焼魚定食

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 20年ほど前だったろうか、仕事のため毎日、日ノ出町から黄金町あたりを歩いていた。

 そのエリアで「打出庵 大黒屋」という和菓子屋さんを見つけ、仕事の合間に大福なんかをよく買ったものである。

 同じ区画に、私の好きな“うらぶれた雰囲気”を漂わせる「いもや食堂」があった。
 その昭和レトロ的な雰囲気が気になっていながら一度も入ったことがなく、なんとなく20年が過ぎてしまっていたのだが、先日、ひょんなことからその店に入る機会があった。


 「お食事処」、「営業中」という幟旗がなければ、ドアを開けるのが躊躇される雰囲気。

 入り口周辺には「お品書き」も「見本」も出ていない。だから値段も不明だ。
 もしかしたら“お高い”のではないかとの危惧もあったのだが、思い切ってドアを開けてみることに。



 カウンター(7席)だけの店内では、お店を切り盛りしている70代のおばあさんがひとり、賄の調理をしていた。

 先客ゼロ。椅子に座ってメニューを確認する。

 煮物定食と焼魚定食が600円。意外と安いじゃないか…。
 生姜焼きが800円で、すき焼き定食と豚カツ定食だと1000円というラインナップである。

 夜の部は……

 
 ずいぶんスッキリしている…

 ビール、日本酒、ウィスキー、どれでも500円!

 つまみは焼き海苔、玉子焼き、シラスおろし、お新香、キムチ、冷奴……と、非常にシンプル!

 どの定食にするか、なにか一品付けるか、いろいろ考えた末に注文したのは「焼魚定食」。
 魚は鯖の塩焼きだという。
 
 

 おばあさんがガスレンジに網を載せ、その上で鯖を焼き始めると、店内にモウモウと煙が充満してきた。

 カウンター内の婆さんの顔が霞むほどだ!

 しかも、脂が多い鯖なので、炎まで立ち昇ってきた!
 カウンターに置いてある石造りの富士山が爆発したように見える。

 「こんなに炎が出ているけど、大丈夫ですかぁ〜」と訊くと、
 「脂が多いから、いつもこうなの」と意に介さない様子。

 いやいや、久しぶりに体験する昭和レトロな食堂だ。かつて関帝廟通りにあった「食堂ベティ」を思い出させる。あそこも誰かが焼魚定食を注文すると、店内がケムリだらけになったものだ。


 これが、焼魚定食の全貌である。

 鯖は縦長の半身。確かに脂がのっていて美味しい。ただ、食器が……

 これって、子供用の皿じゃないの……

 味噌汁はお椀ではなく、中型のドンブリ。中身は豆腐だった。

 意外なのは、といったら申し訳ないが、ご飯が美味しい!
 これらに白菜の漬物が付いて600円。満足なランチであった。


 問題は、魚を焼いた時に店内を漂う煤。

 富士山の爆発で日ノ出町まで飛んできた火山灰のようだ。
 カウンターにどんどん積もってきた。

 でも、こんな雰囲気が好き。
 ここの存在を知っていながら、20年も訪問しなかったことが悔やまれる店である。

 「いもや食堂」の歴史は、こちらのサイトが詳しい。お時間のある方はご覧になってみてはいかが。




 

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